尾瀬ヶ原を訪れる計画を立てる際、最も重要な判断要素となるのが「何を目的として訪れるか」という季節選びです。標高1,400メートルに位置する尾瀬の春は遅く、5月下旬にようやく雪解けが始まります。尾瀬保護財団の気象・植物モニタリングデータによると、水芭蕉の時期は例年5月下旬から6月上旬にかけて最盛期を迎えます。残雪の至仏山を背景に、純白の仏炎苞(ぶつえんほう)が湿原一面に広がる光景は、尾瀬を象徴する代名詞的な美しさです。
初夏から盛夏にかけての7月中旬から7月下旬には、黄色の絨毯を敷き詰めたようなニッコウキスゲの開花状況に注目が集まります。近年の気候変動やニホンジカによる食害対策(電気柵の設置)の進展により、年ごとの開花密度には変動があるものの、朝露を浴びて一斉に開花する大江湿原や尾瀬ヶ原の景観は圧巻のひと言です。
さらに秋の訪れは早く、9月中旬から10月上旬には草紅葉の見頃が訪れます。湿原全体を覆うヤマドリゼンマイやヌマガヤが赤銅色から黄金色へとグラデーションを描き、木々の紅葉と相まって息を呑む静寂の絶景を創り出します。一般的な観光ハイキングにおけるベストシーズンは、花々が咲き競う6月上旬〜7月下旬、および湿原が黄金に染まる9月下旬であり、目的に合わせたスケジュール設計が満足度を大きく左右します。