静寂は一瞬だった。メインイベントのゴングが鳴った直後、両者がリング中央へ猛ダッシュ。誰もがじっくりとした手探りの展開を想像していたはずだ。しかし、結末はあまりにも唐突に、そして残酷に訪れる。
王者が放った浅い左ジャブ。そのわずかな隙を見逃さず、挑戦者がカウンターの右ストレートを全体重を乗せて叩き込んだ。ドスンという鈍い音。マットに沈む王者。追撃のパウンドを一発放ったところで、レフェリーが狂ったように割って入る。試合タイム、わずか15秒。静まり返る超満員の場内。直後、天井を突き破るような大歓声がアリーナを包み込んだ。勝者はマットに顔を伏せ、肩を震わせて泣いた。勝負の世界の容赦なさと美しさが、そこに凝縮されていた。