メディアの表層的な華やかさとは裏腹に、テレビ局のスタッフルームやネット空間では、より生々しい評価の選別が行われています。キー局のチーフプロデューサーは、匿名を条件に次のように現在のキャスティング現場の苦悩を語りました。
「世帯視聴率が10%を超えても、F1・F2層(20〜49歳女性)が観ていなければスポンサーがつきません。大御所芸人さんの番組は視聴者層が60代以上に偏る傾向があり、営業的には極めて厳しい。いま制作現場が喉から手が出るほど欲しいのは、TVerのお気に入り登録数が100万を超えるタレントです。その点、千鳥やかまいたち、有吉さんはコア層の食いつきが圧倒的。彼らをMCに据えるだけで、企画会議が一発で通る状況がここ数年続いています」(キー局バラエティ担当チーフプロデューサー談)
一方で、視聴者コミュニティやSNS上での受け止め方は、手放しの賞賛ばかりではありません。5ちゃんねるのバラエティ実況板やYahoo!知恵袋、X(旧Twitter)等では、現在の状況に対する冷ややかな分析も散見されます。
「どのチャンネルを回しても千鳥とかまいたちばかりで既視感がすごい」「有吉のMCは安定しているけれど、ダウンタウンの『ごっつええ感じ』のような、翌日の学校や職場で世界観が変わるほどの衝撃はない」といった声が根強く存在します。突出した天才による革命的な笑いではなく、計算され尽くした安全で高品質なエンターテインメントが量産される現状に対し、かつての熱狂を知るコアなお笑いファンほど物足りなさを吐露するパラドックスが生じています。