川口のブームを牽引しているのは、氷そのものへの徹底的なこだわりだ。氷師が手塩にかけて育てた天然氷は、マイナス数十度で一気に固めた人工氷とは異なり、不純物が限りなく少ない。これをじっくりと室温になじませ、刃の角度を数ミクロン単位で調整しながら削ることで、口に含んだ瞬間に淡雪のように消える独特の食感が生まれる。
そこに合わせるシロップも、市販のシロップとは一線を画す。旬のフルーツを果肉ごと低加熱で煮詰めたコンフィチュール、京都の老舗茶舗から仕入れた濃茶、さらにはスパイスやハーブを利かせた大人向けのクラフトシロップまで様々だ。「氷の温度感とシロップの粘度を同調させること」。ある店主のこの一言に、川口のかき氷が到達した次元の高さを垣間見ることができる。