ここからは、自宅の作業スペースでコインリングを完成させるための標準的な工程をステップ順に解説します。丁寧な下準備と小まめな力加減がプロ級のリングに仕上げる鍵です。
【ステップ1:センター出しと穴あけ】
コインの表面にマスキングテープを貼り、定規とコンパスを使って幾何学的な中心点を割り出します。印を付けた場所にセンターポンチを当て、ハンマーで軽く叩いてくぼみ(ポンチマーク)を作ります。その後、専用の穴あけダイセットまたは金属用ステップドリルを使用し、狙ったサイズの穴を真円に貫通させます。穴の内側に生じた鋭いバリは、金属ヤスリで滑らかに削り落としておきます。
【ステップ2:バーナーによる焼きなまし(アニーリング)】
金属は叩いたり曲げたりすると「加工硬化」を起こして脆くなり、そのまま力を加えると簡単に割れてしまいます。これを防ぐため、市販のガストーチバーナーでコイン全体がうっすらと赤銅色(約600℃〜700℃)になるまで均一に加熱し、すばやく水につけて急冷します。この「焼きなまし」を行うことで金属組織が柔らかくなり、曲げ加工時のひび割れを防げます。
【ステップ3:サイコロ玉台と矢坊主による初期成形】
くぼみのある「サイコロ玉台」の適切なサイズの溝にコインを置き、先端が球状になった「矢坊主」を中央の穴にあてがいます。上からハンマーで垂直に少しずつ叩き込むことで、平らなコインが均等なお椀型(ドーム状)へと変形していきます。一気に叩き込まず、コインを少しずつ回転させながら均等に力を加えるのがポイントです。
【ステップ4:リングストレッチャーでの拡張とストレート成形】
ドーム型になったコインを再び焼きなましして柔らかくした後、円錐状のマンドレル(芯金)やリングストレッチャーにセットします。レバーをゆっくり操作しながら、お椀の外径を指輪のストレートな筒状へと広げていきます。目的の号数(サイズ)に達するまで、こまめに「加熱→徐冷→微調整」を繰り返します。