文化シーンにおいても、どん底からの再生や耐え忍ぶプロセスの美しさを描くコンテンツが爆発的な支持を得ている。音楽チャートでは、静かなピアノの旋律から始まり、後半に向けて一気に開放的なオーケストレーションへと展開する「カタルシス型」の楽曲が連続して上位を独占。昭和や平成の名曲として知られる雨にまつわるバラードのストリーミング再生数も急増中だ。
映画や小説の分野でも、ハッピーエンドに至るまでの挫折や葛藤の描写に時間をかける作品が評価される傾向が顕著になっている。失敗を即座に糾弾し、一分の隙も許さないSNSのギスギスした空気感に対する反発がそこにはある。完璧な成功ストーリーよりも、傷つき泥にまみれながらも陽の当たる場所へと歩みを進める泥臭い姿に、人々は自らの人生を重ね合わせ、深い救いを見出している。