では、現代のオクラにとって完璧な熱湯通過タイムとはどれくらいなのか。答えは「どのような一皿に仕立てたいか」によって真っ二つに分かれる。
サラダや和え物で、あの弾けるような歯切れとエメラルドグリーンの鮮烈な輝きを主役にしたいなら、湯に入れる時間は「30秒から45秒」で十分だ。表面の産毛をなじませ、クロロフィル(葉緑素)を発色させるにはこの短い閃光のような加熱で足りる。一方、刻んでネバネバとしたとろみを引き出し、納豆や冷奴に絡めたい場合は「50秒から1分」がベストゾーンになる。細胞内の粘性多糖類が適度に活性化し、噛むほどに旨味と粘着性が広がる絶妙なポイントだ。どんな理由があっても、1分10秒を超えて鍋に放置してはならない。