この冷徹な波は、血のつながった家族の間にも容赦なく押し寄せている。特に深刻化しているのが、高齢化社会の極限に達した日本における「老老介護」と「実家の処分・相続」をめぐる問題だ。親の介護費用を誰がどれだけ負担するのか、介護を担う側の労働力をどう金銭的に評価するのかという議論は、しばしば骨肉の争いへと発展する。
「親の遺産がほとんどないことが分かった瞬間、兄弟の態度が急変した」という体験談は、決して珍しいものではない。かつては家族という強固なコミュニティがセーフティネットとして機能していたが、個々の生活に余裕がなくなった今、そのセーフティネット自体が崩壊しつつある。