春先、近衛邸跡で風にそよぐ「糸桜」。ソメイヨシノよりもひと足早く花を開くこのシダレザクラの群生は、かつて五摂家筆頭として栄えた近衛家の華やぎを今に伝えている。淡いピンクの枝垂れが青空に映える様は、言葉を失うほどの美しさだ。
新緑の眩しい初夏、大銀杏やモミジが深緑から鮮やかな赤へと染まる秋、そしてシンと静まり返る冬の樹林。樹齢数百年を数える巨木が並ぶ「母と子の森」や梅林など、足を踏み入れるごとに景色がガラリと変わる。同じ場所でありながら、訪れる時刻や季節によって二度と同じ表情を見せない。それが御苑散策の醍醐味だ。