日本のパン製造の歴史を語る上で、「丸十」という屋号は欠かすことのできない重要な足跡を残している。明治時代に日本人の味覚に合ったパンづくりを追求したパイオニアたちの精神は、職人たちの手から手へと受け継がれ、全国各地にその伝統を刻んできた。ここ三鷹の地においても、その血統を受け継ぐ店として、何世代にもわたる家族の食卓を支え続けている。
時代が変わっても揺るがないのは、毎日同じクオリティでパンを焼き上げるという愚直なまでの誠実さだ。効率化や自動化が優先されがちな昨今のフードビジネスとは一線を画し、生地の状態や天候を見極めながら丁寧に成形されるパンには、職人の呼吸と手仕事のぬくもりが宿っている。