光が強ければ、当然影も濃くなる。明晰夢ブームの加熱に伴い、精神医学の現場からは懸念の声も上がり始めている。
「夢を過剰にコントロールしようとすることで、本来の睡眠が持つ疲労回復機能が損なわれるリスクがあります」。国立精神医療センターの臨床心理士、小林由香氏は警鐘を鳴らす。「意識を覚醒させすぎると、浅い睡眠が続き、日中の集中力低下や慢性疲労を引き起こしかねません」。
さらに深刻なのは、現実と夢の世界の境界線が薄れる「睡眠解離症状」だ。夢の中で自由自在に万能感を味わった結果、現実の人間関係に対する強いストレスを感じ、夜の夢空間へと依存していく人々、通称「ドリーム・アディクト(夢依存症)」の増加が社会問題化しつつある。