午前6時。まだ街が静けさに包まれる時間帯、厨房の明かりはすでに煌々と灯っている。トラックから次々と運び込まれる発泡スチロールの箱。フタを開ければ、さっきまで海を泳いでいたかのような目を光らせた本マグロや、水滴を弾く寒ブリが姿を現す。
開店の2時間前から待機列に並ぶ30代の男性は、「ここで食べる刺身は、口に入れた瞬間の歯ごたえと甘みが根本から違う。一度この味を知ってしまうと、都会のチェーン店には戻れない」と熱っぽく語る。腹を満たすためではなく、ここでしか味わえない直球の感動体験を求めて、人々は足を運ぶ。