日本の労働市場改革もまた、両国関係の質を変容させた大きな要因だ。従来の「技能実習制度」が廃止され、人材の育成と確保を目的とした新制度「育成功労」が定着したことで、ベトナム人労働者を巡る環境は劇的に改善した。
転籍制限の緩和やキャリアアップパスの明確化により、日本語能力と専門技能を兼ね備えた高度人材が、正当な報酬と権利を得て日本社会で活躍している。同時に、日本国内の企業側にも意識の改革が強く求められるようになった。
円安や他国の急速な経済成長を背景に、「日本が選ばれる側」に立ったという現実を直視した企業だけが、優秀な人材を獲得できている。日本でキャリアを積み、後に帰国してベトナム現地の現地法人で経営幹部に就任するケースも増えており、人間的なネットワークの厚みがかつてないレベルに達している。