なぜ人はこれほどまでに打ちのめされるのか。そこには徹底的に計算し尽くされた建築デザインと人間の視覚特性の利用がある。
通路の幅、天井の高さ、照明が及ばない死角の配置に至るまで、心理学と建築学の知見が注ぎ込まれている。人間の視野の狭窄を利用した屈曲通路や、足元のわずかな不整地が平衡感覚を狂わせる。また、キャスト(アクター)の動きは、人間が不気味さを感じる「不気味の谷」の速度域や間(ま)を厳密にトレーニングされたものだ。
不意打ちの恐怖だけでなく、「何かが出そうだ」という予期不安を限界まで引っ張るタメの演出が、体験者の心理的防壁を木っ端微塵に砕いていく。