味付けとソースの構造にも明確な一線を画すことができる。ドリアの要は、牛乳とバター、小麦粉を練り上げたホワイトソース(ベシャメルソース)やミートソースだ。耐熱容器の中で、ライス、ソース、チーズが層を成し、オーブンの熱によって全体がまとまる「グラタンのライス版」と呼ぶにふさわしい構造をしている。
リゾットには、そのような重厚な独立したソースは存在しない。代わりに、チキンブイヨン、魚介の出汁、野菜のスープなどが米の内部にしみ込み、仕上げに加えるパルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)と冷えたバターを激しく混ぜ合わせる「マンテカトゥーラ(乳化)」という工程によって、自然なとろみが形成される。重層的なソースで味わうドリアに対し、出汁とオイル、チーズの水分が一体化したリゾットという、構造的な違いが存在するのだ。