気象庁の予測精度向上に伴い、2026年代半ばからJR各社は台風接近の数日前から計画運休の可能性を予告するスタイルを定着させた。当日朝の突然の発表による混乱は激減した。しかし、早期公表には別のリスクがつきまとう。台風の進路変更や勢力衰退によって運休範囲を縮小した際、「空振り」との批判が巻き起こるからだ。
だが、現場の鉄道マンにとって「空振り」は決して失敗ではない。時速300km近くで走る列車が飛来物や強風で一瞬でも脱線・停電すれば、壊滅的な事態を招く。途中の橋梁で風速制限に引っかかり、真夏の車内に数百人が数時間閉じ込められるリスクを考えれば、早めの決断こそが最大の危機管理であるという認識が、社会全体にも徐々に浸透しつつある。