薬である以上、作用と反作用は表裏一体だ。PDE5阻害薬の副作用を正しく理解することは、恐怖心を取り除き、安全に使いこなすための必須条件と言える。
最も高頻度で現れるのが「顔の火照り」「鼻づまり」「頭痛」だ。これらは異常事態ではなく、薬の血管拡張作用が全身に及んでいる証拠でもある。「お酒を飲んで少し顔が赤くなった程度」と受け流せる軽度なものが大半だが、シルデナフィルやバルデナフィルでは出現率が高くなる傾向がある。
一方で、薬剤特有のマイナーな副作用も存在する。タダラフィルの服用後にしばしば報告されるのが「腰痛」や「背中の筋肉痛」だ。これはタダラフィルが骨格筋に多く存在するPDE11という別の酵素にもわずかに作用してしまうために起こる。通常は時間の経過とともに軽快するが、痛みが気になる場合はロキソニンなどの消炎鎮痛剤を併用することで十分にコントロールが可能だ。
ただし、絶対に妥協できない命に関わるレッドラインが存在する。それが「ニトログリセリン系薬剤との併用禁忌」だ。狭心症や心筋梗塞の治療で使用される硝酸薬や一酸化窒素供与剤を服用している患者がPDE5阻害薬を口にすると、急激かつ破滅的な血圧降下を引き起こし、心停止に至る危険がある。不整脈の持病がある人や、直近6ヶ月以内に脳梗塞・心筋梗塞を起こした既往歴のある人も処方対象外となる。健康状態を偽って入手することは、自ら命を投げ打つに等しい暴挙だ。