初期のR-1は、言わば「話芸の品評会」だった。初代王者・だだすべり(平畠啓史)から始まり、浅越ゴエ、ほっしゃん。、博多華丸、そして2連覇という金字塔を打ち立てたなだぎ武。彼らが提示したのは、確かな技術に裏打ちされたスタンダップコメディであり、完成された一人コントの世界だった。関西の劇場文化が培った盤石の地肩。それは大人の鑑賞に堪えうるスマートな笑いでもあった。
潮目が完全に変わったのは2016年だ。地下劇場で長年燻り続けたハリウッドザコシショウが、誇張しすぎたモノマネでスタジオの空気を力づくでへし折った。翌2017年にはアキラ100%がお盆1枚で全裸芸を完遂する。予定調和のフリップや小咄を吹き飛ばす、剥き出しの身体性と狂気。技術を競うコンテストから、人間そのものの破壊力をぶつけ合うコロシアムへの変貌──この劇的なシフトこそが、大会を一度死の淵から蘇らせたカンフル剤だった。