春の訪れを告げる風物詩として知られる近衛邸跡のシダレザクラ。しかし、近年の地球規模の暖冬と激しい気候変動は、植物たちのバイオリズムを確実に狂わせている。開花時期の早期化だけでなく、秋口の返り咲きや、夏場の記録的な猛暑による樹勢の衰退が懸念されている。
樹木医を中心とする保全チームは、1000本を超える苑内の樹木一本一万にセンサーを設置し、土壌水分量や樹液の流れをリアルタイムでモニタリングするシステムを本格導入した。伝統的な職人の「目立て」とデータ分析の融合。異常気象の最前線で樹齢を重ねる巨木を守る戦いは、一刻の猶予も許されない緊迫感を漂わせている。