彼女の名が映画ファンの心に深く刻まれた原点といえば、やはり2012年の映画『桐島、部活やめるってよ』に遡る。スクールカーストのリアルな空気感が息苦しいほどに描かれた同作で見せた彼女の存在感は、ひときわ異彩を放っていた。言葉にならない感情の揺れ、同世代とのヒリヒリするような距離感。セリフのない一瞬の間や視線の泳がせ方だけで、10代特有の鬱屈と孤独を見事に表現してみせた。
あの鮮烈なスクリーン登場から長い年月が経過した。だが、映像で見せる鋭利な感性は失われるどころか、年齢と経験を重ねるごとに凄みを増している。インディペンデントの野心作から大作映画まで、彼女がフレームに入るだけで画面の緊張感が一段跳ね上がる現象は、今や映画界における信頼の証となっている。