調理の工夫だけでなく、農業バイオテクノロジーの進歩によって「そもそも涙が出ない玉ねぎ」も実用化されています。
日本のハウス食品グループ本社が長年の研究の末に開発した「スマイルボール」は、世界で初めて涙の発生原因となる「催涙成分合成酵素(LFS)」の働きを極限まで抑え込むことに成功した画期的な玉ねぎです。2002年の酵素発見、2013年の「イグ・ノーベル賞(化学賞)」受賞を経て商業栽培化され、生鮮市場や百貨店、ECサイトを中心に流通しています。
スマイルボールは、包丁でどれほど細かくみじん切りにしても催涙ガスがほとんど発生しません。さらに、催涙成分へと変換されなかった含硫化合物が保持されるため、玉ねぎ特有のツンとした辛味が極めて少なく、「水にさらさずにそのまま生で甘く食べられる」という大きな利点を持ちます。従来の玉ねぎは水にさらすことで辛味を抜く反面、水溶性ビタミンB群やカリウムなどの栄養素が流出してしまう欠点がありましたが、そうした栄養素を逃さず摂取できるプレミアム食材として評価を確立しています。