1990年代、『non-no』をはじめとするトップファッション誌で圧倒的な人気を博した彼女のキャリアは、最初から演技の世界にあったわけではない。カメラの前で自らをどう見せるか、衣服や空間とどう調和するかを極限まで突き詰めたモデル時代の経験は、現在のアクティングスタイルにも色濃く影を落としている。
演技において最も難しいとされる「引き算の表現」を、彼女はごく自然に行う。過剰な感情表現に頼らず、立ち姿や視線の泳ぎ、わずかな息遣いだけで登場人物の背景にある人生を語ってみせる。モデル時代に培った空間認識能力と客観的な視点が、スクリーンの端に映る瞬間であっても物語のリアルを生み出す原動力となっているのだ。