本作の真骨頂は、メインキャラクター4人がそれぞれの「横顔」を見つめ続ける重層的な構造にある。自分が好きな人は、別の誰かを見つめている。そんな不都合な真実から目を背けることもできず、かといって胸の奥で渦巻く想いを完全に消し去ることもできない。甘酸っぱいなんて綺麗な言葉では片付けられない、思春期特有のヒリヒリとした痛みが全編を支配している。
クライマックスで描かれたのは、安易なハッピーエンドではない。互いの想いを打ち明け合ったからといって、全員が思い通りの形で結ばれるわけではないという、過酷なまでの「現実」だ。だがそれこそが、この物語を単なる流行で終わらせず、読者の心に深く刺さる名作へと昇華させた最大の理由と言える。