タイヤの性能を決定づける最大の要因は、トレッド(接地部)に使用されているコンパウンドの物性にある。
夏タイヤは、30℃を超える猛暑の高速走行でもゴムが軟化しすぎず、確実な剛性を保つよう設計されている。しかし、外気温が7℃を下回ると途端に状況が変わる。夏タイヤのゴムは急速に硬化し、まるでプラスチックのような質感へ変化するため、路面の微細な凹凸に追従できず摩擦力を失ってしまうのだ。
対する冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)は、シリカの配合比率を高めた特殊な発泡ゴムを採用している。マイナス20℃を超える極寒環境であっても柔軟性を維持し、凍結路面に吸い付くように密着する。外気温7℃という数値こそ、夏タイヤが本来のグリップ力を失い始める絶対的な境界線なのである。