この店の愛好家たちが口を揃えて語るのは、「同じメニューには二度と会えないかもしれない」という一期一会の緊張感と期待感だ。旬の食材を最も美味しい時期だけに仕入れて仕立てるため、メニューのラインナップは季節の移ろいとともに目まぐるしく変化する。
初春にはイチゴと蓬(よもぎ)をあしらった春霞を思わせる一杯、秋には栗や柿とほうじ茶を掛け合わせた深みのある一杯といった具合だ。開発チームは毎回数百回に及ぶ試作を重ね、食材の相性とグラス内の強度、視覚的バランスを追求する。一度提供期間が終了したメニューが再登場することは稀であり、その儚さもまた客足を惹きつけてやまない理由である。