2001年の劇場公開から25年。なぜハクという存在は、四半世紀が経過した今なお世界中の観客を狂わせるのか。その理由は、彼の持つ徹底的な「二面性」と「透明感」にある。
油屋の帳場を仕切る冷酷な男としての顔。そして、誰もいない草むらで千尋に握り飯を差し出し、ボロボロと涙をこぼす彼女を黙って抱きしめる温かな顔。この落差にノックアウトされなかった観客はいない。言葉数は少ない。だが、その瞳の深さと決意に満ちた佇まいが、画面越しに観る者の心臓を直接打ち鳴らす。少年とも青年の枠ともつかない危うい美しさは、ジブリ作品史上でも屈指の異彩を放ち続けている。