中津川の寿司が他地域と一線を画す最大の理由は、単に海の魚を並べるだけではない点にある。山深き土地だからこそ生み出せた、独自の「仕込みと調和」だ。
シャリには、木曽川の清らかな伏流水で育まれた地元の特選米を使用。硬めに炊き上げ、地元の醸造所でつくられた滋味深い赤酢や米酢を合わせる。さらに、山菜の漬物や自生のワサビ、初夏のアユや秋のキノコ、栗といった山のエッセンスが、握りのアクセントとして巧みに組み込まれる。
脂の乗った本マグロの極上に、ピリッと爽快な地物ワサビが寄り添う。あるいは、炙ったサワラに地元の原木椎茸で作った芳醇な塩をひと振りする。海と山が口の中で出会うこの絶妙なバランスこそ、都市部の繁華街では決して味わえない「中津川スタイル」の真骨頂と言える。