かつて「あざとい」という形容詞には、相手を惑わせたり、自己の利益のために巧みに立ち回ったりするような、どこかネガティブな影がつきまとっていた。しかし、バラエティ番組や各種メディアによってその具体的な挙動や心理メカニズムが言語化・解剖されたことで、世間の視線は一変した。
いまやそれは「目の前にいる人物が何を求め、どう振る舞えばその場が丸く収まるかを瞬時に判断する気配りの技術」として評価されている。自分が周囲からどう見られているかを冷静に把握する客観性と、相手を不快にさせないホスピタリティ。このふたつが組み合わさった結果、あざとさは現代社会を生き抜くための賢明な処世術として着実に根を下ろした。