本作の軸を担うのは、主人公・鈴木密(および派遣社員の美つき)を演じた松本若菜だ。愛する夫・優吾を社内の苛烈なハラスメントによって奪われた彼女は、正体を隠して夫の勤務先だったIT企業へ潜入。ターゲットとなった社員たちを一人また一人と社会的に、そして精神的に追い詰めていく。
松本が凄まじいのは、徹底した「表と裏の顔」の描き分けだ。普段は有能で控えめな女性として振る舞いながら、標的を仕留める瞬間には妖艶で冷酷な復讐鬼へと変貌を遂げる。冷たい瞳の奥に宿る揺るぎない憎悪と、ふとした瞬間に漏れ出る亡き夫への切ない愛。この相反する感情を緻密な表情筋の動きひとつで表現し切った演技は、視聴者の語り草となった。2026年の今や数々の地上波主演を張るトップ女優となった彼女だが、その才能が決定的に覚醒した瞬間がここにある。