2026年に入り、エンターテインメント業界全体の潮流は「観る」から「入る」へと完全にシフトした。その最前線で異彩を放ち続けているのが、フロアごとにまったく異なる世界観を構築している点だ。エレベーターの扉が開くたび、空気の温度すら変わったかのような錯覚に襲われる。
ある階では1920年代のノワール映画のような暗鬱な密室、別のフロアでは近未来の宇宙ステーションを模したサイバー空間。小道具一つひとつの手触り、古い紙の匂い、そして足元から伝わる振動。視覚だけでなく全身の五感を総動員しなければ解き明かせない仕掛けが、訪れる者を物語の「当事者」へと引きずり込む。プレイヤーは観客ではない。自らの行動と決断によって結末を切り開く、唯一の主人公なのだ。