性別の決定権を握っているのは、父親から送られる精子だ。女の子になる「X精子」と、男の子になる「Y精子」。この二つは、単に保有する染色体が異なるだけでなく、物理的な性質においても対極に位置する。
X精子はY精子に比べて頭部が大きく重いため、泳ぐスピード自体はやや控えめだ。しかし、酸性環境に対する耐性が非常に強く、エネルギーが枯渇しかけても生存し続ける驚異的なスタミナを持つ。対照的にY精子は軽量でスピードに長けるが、熱や酸性度に極めて弱く、寿命も短い。
つまり、女性の体内環境(膣内や子宮頸管)の酸性度が高かったり、排卵期より数日早いタイミングでの交床が行われたりした場合、タフなX精子だけが生存レースを勝ち抜く可能性が跳ね上がる。女性の体が無意識のうちに精子のフィルターとして機能しているのだ。