焼き鳥の味を決定づけるのは、言うまでもなく素材と火である。2026年の横浜駅周辺では、単に「国産鶏」をうたうだけでなく、生産者と直接契約を結び、毎朝捌きたての鮮度抜群な地鶏を仕入れる店舗が急増した。秋田の比内地鶏、茨城の奥久慈しゃも、あるいは神奈川県産の丹沢滋味あふれる銘柄鶏など、それぞれの部位が持つ脂の乗りや肉質に合わせて複数の鶏種を使い分ける店も珍しくない。
火入れにおいても驚くべき進化が見られる。職人たちは一升瓶の霧吹きを手に、1000度近くに達する紀州備長炭の近火の強火で一気に表面を焼き固める。肉汁を閉じ込め、外はパリッと香ばしく、中は驚くほどジューシーに仕上げる技術は、まさに芸術の領域だ。串を打つ角度、塩を振る高さ、タレに潜らせるタイミング。一つひとつの工程にミリ単位の計算がなされており、訪れる客の舌を唸らせ続けている。