カメラが回っていない瞬間にふと見せる、遠くを見つめる目。あれから時間が経ち、彼の日常は完全に「自分自身の時間」へとシフトした。テレビ局の楽屋ではなく、絵の具の匂いが漂うアトリエ。早朝の潮風を感じながら静かに筆を握る生活だ。かつて過密スケジュールに追われ、息をつく暇もなかった時代を思えば、今の静けさこそが彼にとって最も贅沢な時間なのかもしれない。
アート業界の関係者は語る。「彼の作品は、芸能人のタレント絵画という枠組みを軽々と超えている。圧倒的なデッサン力はもちろん、色使いに宿る独特の哀愁と静けさが観る者の心を揺さぶる」。売れるためでも、誰かに評価されるためでもない。ただ内なる声に従って描かれたキャンバスには、彼が長い年月をかけて培ってきた魂の輪郭が滲み出ている。