1960年代から70年代にかけて、サブカルチャーという概念は、支配的な社会規範や伝統的価値観に対する「カウンターカルチャー(対抗文化)」としての色彩を強く帯びていた。ヒッピー運動、初期のパンクロック、アングラ演劇などがその筆頭だ。当時のサブカルは、社会へのアンチテーゼであり、若者たちの違和感や反逆の衝動そのものだった。
ところが80年代以降、日本の都市文化が高度に成熟するにつれ、その性質は緩やかに変質する。政治的・社会的な主張から離れ、純粋な趣味性、独特の美意識、スタイルの追及へとシフトしていった。いわゆる「渋谷系」音楽やインディーズコミック、単館映画のブームがその典型だ。そしてSNSが世界を網羅した現代、サブカルチャーは反逆の武器ではなく、「個性のアイコン」であり「多様性の証明」へと完全に脱皮した。