私たちが日常で使う日本語と、英語の自動詞・他動詞の概念には、思考パターンの根本的な違いが存在する。ここを理解していないと、翻訳や実務の現場で思わぬトラップにハマることになる。
日本語は「状態の変化」や「自発的な現象」を好む言語だ。例えば「財布がなくなった」「お湯が沸いた」という表現がごく自然に使われる。主体をあいにくぼかしたまま、勝手に事態が進行したようなニュアンス(自動詞的発想)を好むのだ。
一方で英語は、責任の所在や因果関係を明確にする「動作主中心」の言語である。「誰が財布を無くしたのか」「誰がお湯を沸かしたのか」という他動詞的思考がベースに流れている。日本語の感覚のまま英語を組み立てようとすると、自他を誤って使ってしまう最大の原因はここにある。