ちいかわたちが生きる世界には、現実の経済活動と気味が悪いほど酷似した、しかし遥かに歪んだ社会システムが存在する。「草むしり」や「討伐」によって報酬を得る彼らの日常は、一見するとコミカルだ。しかし、その背後には常に死の匂いが漂っている。
劇場版の大規模なスケール感は、この社会構造の不条理さをより鮮明に浮き彫りにする。無邪気に楽しむ湧き出るスープやラーメン。だが、それら無償に見える資源は一体どこから供給されているのか。無限の恩恵の裏には、必ず過酷な対価が存在する。討伐対象となる怪異たちは、最初から怪物だったのか。それとも、ストレスや欲望の果てに変貌した「元・住民」なのだろうか。映画のスクリーンは、この世界が抱える致命的な欠陥を容赦なく暴き出すはずだ。