見上げるような高層構造物の壁面と屋上を隙間なく覆い尽くすのは、緻密に計算されたグラデーション状の植生だ。地上から上層部に向かって標高差に応じた植物配置がなされており、最下層には湿度を好むシダ類や苔類、中層には実をつける小高木、そして最上層には強い日光と風に耐える高木が陣取る。
配管の露呈した旧来のビル群とは異なり、建物自体の骨格が保水性ポーラスコンクリートと特殊バイオカーボン素材で作られている。雨水を効率よく保持しつつ、根の生育を自然に促す構造だ。足を踏み入れると、アスファルトの照り返しは消え去り、森の奥深くに入り込んだかのような湿り気のある土の匂いが鼻腔をくすぐる。都市特有の無機質な騒音が、葉擦れの音と鳥のさえずりに取って代わられた瞬間だ。