タイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」の追求が極まった反動なのか。2026年の都市部では、あえて「効率とは無縁の時間を過ごす」ための消費が急増している。都心のIT企業でチームを率いる30代の女性は、週に一度の「スマホ電源オフの日」を決め、昔ながらの喫茶店に身を置く。
「通知に追われない30分間、サイフォンのフラスコ内で揺れるお湯を眺めているだけで、削り取られた集中力が静かに戻ってくるんです」
こうしたニーズに応えるように、店内での通話やデジタル機器の使用をあらかじめ制限する「静寂系喫茶」が各地で静かなブームとなっている。行き過ぎた効率化の果てに私たちが求めたのは、贅沢に時間を浪費できる豊かな場所だった。