「物理的に正しい絵が、必ずしも胸を打つとは限らない」
大手スタジオで数々のバトルアニメを手がけてきたベテラン原画マンはそう語る。現実のカメラレンズではあり得ないような腕の肥大化、ゆがむ背景、幾何学的ルールを無視したキャラクターの配置。こうした「不均衡」こそが、戦いの現場に存在する凄惨さや熱量を表現する最大の武器になる。
あえてパースを崩すことで、視聴者の脳内にある「日常の空間認識」に揺さぶりをかける。刃が交差する瞬間の衝撃波、キャラクターが踏み込む足元の沈み込み。正解のデッサンを捨てる覚悟があるかどうかが、今や一流と二流を分ける境界線となっている。