デッドボールをアピールしながら審判と押し問答を繰り広げ、時には落としたコンタクトレンズを探すふりをしてタイムを稼ぐ。伝説の珍プレー動画で何度も再生されるこれらのシーンも、勝負の現場においては冷徹な戦略の一環だった。流れが相手に傾きかけたとき、試合のテンポを強制的に断ち切る間(ま)の取り方——これこそが達川の真骨頂である。
ルールと審判の目の「限界」を極限まで見極め、チーム勝利のために泥をかぶる覚悟。そこにあったのは、格好良さを捨て去った泥臭いプロフェッショナリズムだ。勝負への飽くなき執念が、あのクスッと笑える名場面の裏側には脈打っていた。