全国的に個人経営の飲食店の廃業が相次ぐ中、この街でも数年前までは店主の高齢化による暖簾の存続が危ぶまれていた。しかし今、大きな変化の波が訪れている。東京などの都市部で修行を積んだUターン・Iターンの若い料理人たちが、老舗の味覚と雰囲気を守りつつ事業を継承するケースが目立ち始めたのだ。
彼らは先代が守ってきたレシピや秘伝のタレを厳格に受け継ぐ一方で、地元農家と直接契約してオーガニック食材を取り入れたり、食品ロスを極限まで減らす効率的な仕込みラインを構築したりと、現代的な持続可能性を注入している。「古いものを壊すのではなく、時代の血を通わせる」。そんな志を持った挑戦者たちが、伝統の味覚を次の10年、20年へとつなごうとしている。