このブームを支える足元では、日本の伝統工芸を担う職人たちが多忙を極めている。国内で流通する大型香炉の大部分を生産してきた富山県高岡市。400年の歴史を誇る高岡銅器の工房では、熟練の職人たちが青銅の鋳造作業に追われていた。
「一時期は寺院からの注文も減り、後継者不足に頭を抱えていたが、ここ1〜2年で状況が一変した」と話すのは、創業120年を超える鋳物工房の四代目店主だ。現在では、伝統的な獅子頭や龍の装飾を施した重厚なデザインに加え、現代建築に調和するミニマルでモダンなデザインの特注依頼が増えているという。
重さ数百キロから1トンにも及ぶ鋳物を、寸分の狂いもなく仕上げる技術はまさに神業だ。耐熱性と耐候性を極限まで高めた合金の配合比率は、親から子へと口伝で受け継がれてきた。職人たちの誇りと技が、現代の空間に新たな息吹を吹き込んでいる。