かつての下落合といえば、印刷工場や町工場が点在する準工業地域としての顔が強かった。しかし、近年の規制緩和と跡地利用の波に乗り、川沿いの景観は劇的に変化している。古い倉庫をリノベーションした自家焙煎コーヒーショップや、ヴィーガン向けのベーカリーがポツポツと暖簾を掲げ始めた。
朝のラッシュが落ち着いた午前10時、妙正寺川沿いの遊歩道にはベビーカーを押す若い親や、犬の散歩をする住民の姿が目立つ。護岸工事が進んだことで水害への懸念が和らぎ、むしろ「水辺のある暮らし」というブランド価値が前面に出てきた格好だ。新旧の住民が交差するこの小道こそ、現在の下落合を象徴する場所かもしれない。