どこを見渡しても洗練されたデザインやCG、AIが弾き出す「完璧な美しさ」に溢れているのが現代社会だ。しかし、この鉄像が放つ光景は、そうしたスマートさへのアンチテーゼのようにも見える。少し前かがみの姿勢、左右非対称の肩、風雨にさらされて味わいを増した錆の質感――その不完全さこそが、見る者に強烈な安心感を与える。
東京から車を走らせて訪れた30代の男性ファンは笑う。「完璧すぎるものに囲まれていると、時々息苦しくなることがあるんです。でもここに来ると、肩の力がすっと抜ける。『これでいいんだよ』と言われている気がするんですよね」。完璧ではないからこそ、「自分たちが守ってあげなければ」という愛おしさと参画意識が人々の心に芽生えるのだ。