環境保全だけではない。地域経済や日本の食文化に対するインパクトも絶大だ。施設周辺に形成された人工的な湧昇流は、底層に眠る豊かな栄養塩を中層へと押し上げ、広大なプランクトンの発生源を作り出している。
「まるで深海に出来た巨大な牧草地だ」。地元小田原のベテラン漁業関係者は目を見張る。この豊かな栄養環境で育ったマアジやサバは驚異的な脂乗りを見せ、市場では新たな高級ブランド水産物として高値で取引され始めた。乱獲によって減少しがちだった沿岸資源を休ませつつ、限られた漁獲量で高い付加価値を生み出す仕組みが整いつつある。