天正元年(1573年)、信長による小谷城包囲網は完成し、浅井家は滅亡のときを迎える。長政は自害に追い込まれ、小谷城は炎に包まれた。このとき、信長が最も執着したのは、他でもないお市と三人の娘たちの救出だった。
地獄絵図と化した城内から生還したお市を、信長は手厚く迎え入れた。しかし、長政の長男である万福丸が信長の命によって処刑されるなど、織田家の容赦ない冷酷さもお市は目撃することになる。兄の圧倒的な威光と、夫を奪われた絶望。お市はその葛藤を胸に秘め、織田家の一員として生き直すことを余儀なくされた。彼女が流した涙は、戦国家族の血塗られた運命を象徴している。