東京・神田や浅草に店を構える創業数百年を誇る老舗蒲焼店にも、変化の波は大挙して押し寄せている。「かつてのように、土用の丑の日に大量に焼いて大量に売るビジネスモデルは終わった」と、都内老舗店の店主は胸中を明かす。
今や職人たちが目指すのは、量ではなく「極上の体験」としての価値提供だ。個体の脂の乗り方に応じた繊細な焼き加減、一匹一匹の資源に対する深い感謝、そして代替原料を用いた「精進ウナギ」やバイオ発酵技術によるウナギ風加工食品との共存。消費者の意識もまた、「安ければいい」から「物語と責任を伴う消費」へとシフトし始めている。