「これ、実はこれまで市場に出回らず捨てられていた魚なんです」
都内のある人気居酒屋で出された刺身の盛り合わせを前に、店主が誇らしげに語る。サイズが不揃いだったり、知名度が低かったりする理由で廃棄されていた「未利用魚」。かつては買い手がつかなかったこれらの素材が、今や料理人の手によって至高の逸品へと生まれ変わっている。旬の味覚を余すことなく味わうという和食本来の精神が、SDGsという現代の価値観と響き合い、店舗の独自性を生み出す強力な武器になっているのだ。
さらに注目すべきは、地方の農家とダイレクトにつながるマイクロ・サプライチェーンの構築である。流通に乗りにくい各地の伝統野菜や有機野菜が、仕入れの翌日には居酒屋のカウンターに並ぶ。産地直送を超えた「ストーリー性」が、食に感度の高い層の心を掴んで離さない。