「焼き上がりを左右するのは、火加減だけではありません。何を燃やすかです」
そう語るガストロノミー界のスペシャリストたちが着目したのが、焼き窯にくべる「薪(まき)」の選定だ。伝統的な北京スタイルではナツメ(大棗)の木が最高峰とされる。ナツメの薪が放つ甘くフルーティな香気が鴨の皮にしみ込み、噛んだ瞬間に独特の上品なフレーバーが鼻腔を突き抜けるからだ。
最新の都内高級店では、リンゴやサクラ、さらにはウイスキー樽の古材を用いた独自の燻製アプローチまで登場。科学的な温度管理と古典的な薪焼きの融合により、ひとくちごとに深まる香りの階層が、美食家たちを唸らせている。