長年にわたり日本の山林を悩ませてきた「放置人工林問題」にも、ついに明るい兆しが見え始めている。高度経済成長期に大量に植林されたものの、安い輸入材に押されて手入れが途絶えていた杉やヒノキが、半世紀の時を経て本格的な利用期(主伐期)を迎えているからだ。
地方自治体と民間企業がタッグを組んだサプライチェーンのデジタル化が寄与した。ブロックチェーン技術を用いた木材のトレーサビリティシステムにより、「誰が、どこの山で、どのように伐採した木か」が瞬時に可視化されるようになったのだ。これにより、環境配慮型建築を目指す大手デベロッパーが、高価格でも品質の保証された国産材をダイレクトに調達する循環が完成した。
過疎化に悩んでいた山あいの地域では、林業のスマート化に伴い若者のUターン・Iターンが急増。資源の地産地消ならぬ「地産都消」が実現し、長らく停滞していた地域経済に力強い血管が通い始めている。